12月26日(土)生命活動って複雑すぎて目が回る

 こんにちは。うす曇のち晴れ。少し暖か。遠方霞む。
と、思ってたら黄砂の影響かも知れないな。





 何気なくTV見てたら「がん・生と死の謎に挑む」という
立花隆のBSアンコールをやっていた。生命体の不思議。
ものごと何でもそうですが、一方的に良いこととか一方的に
悪いことは少ないです。なんにでもトレードオフつうのがある。
何十年も巨費と優れた人材を大量に投入して世界各国が
国家的プロジェクトでがん征圧に挑んできたが、調べれば調べ
るほど迷路にはまると。










 その原因の分析レポート。実はがんは生命そのもので、我々
の進化の歴史と不可分のものらしいのだ。



1.HIF−1(ヒフ・ワン)という遺伝子は低酸素環境でも
がん細胞を生かして転移を促すが、これは正常な細胞が進化を
生き延びるために獲得したものであらゆる生物で基本的な役割
を果たしている。



2.免疫細胞マクロファージ(大食細胞)ががんを殺すどころか
逆に助けている。これはもともと傷口を治す働きが逆作用。細胞
の分裂・成長・移動を促す物質を出してがんを転移させてしまう。



3.がん幹細胞は正常な幹細胞と殆ど同じ。再生能力が高ければ
がんになり易い。切れたトカゲの尻尾のように事故で無くした手
足を伸ばしたいのか、ちょと間違えるとがんになり易くなるのか、
とのトレードオフで今のホモサピエンスが選んだ結果が現状。



4.RASというがん遺伝子は細胞の分裂・成長を促す、多細胞
生物では基本的な役割を担っていますが、これが異常を起こすと
無限増殖を始めてしまう。それでその発現を押さえる分子標的薬
を投与すると別のパスから同じ働きをしてしまう。
 細胞の中の働きはパスウエー(細胞内の情報伝達経路)と言う
複雑なタンパク質情報処理を経て行われるのですが、一つの経路
が阻害されると別のルートが代替して機能を維持するという柔軟
性が備わってます。この生命のしぶとさががん細胞の増殖をも
助けていることになります。











 この様に、がん細胞は正常な生命活動の長い歴史と柔軟性、
可塑性を引き継いでおり、まさに「生命活動」そのものであー
る!という結論。まさに、がんのシブトさは生命のシブトさ。
人間は誰でも100%死ぬんだから、これにあらがうんでは
なくって、「死ぬまではQOLを維持してちゃんと生きるん
だあ!それが”がん克服”だああ!」と言うのが立ち話し、
いや立花氏の悟りでした。とてもとても勉強になりましたで
す。はい。ジー















補遺:

 しかし、細胞の中の情報伝達って凄いな。パスウエイ。
ホルモンとか酵素とかサイトカインとか代謝物質とかイロエロ
と呼び方はありますが、すべて遺伝子情報から作られる蛋白質
ですね。数万種類の情報伝達。そのネットワークが生命活動。
たかだか1種の電気パルス情報伝達だってとても複雑なネット
ワークを構成するのに、生命活動はその数万倍の複雑さ!!!
細胞内のパスウエイも年々解明が進んで複雑になってくんだけ
ど、もう今ではその解明された範囲だけでも複雑杉て全部理解
できる人はいないのですって。仮に、何百年か後に生命活動の
全容が解明されたとしても、もうその時はその全体をだーれも
理解できないんぢゃねーのん?ほんの一部分づつを理解しあう
「群盲、象をなでる」状態だったりして。プ











 ふと思い出しましたが、人間長生きしたいのかそれともボケ
たく無いのかもトレードオフらすい。長生き遺伝子つうのも
確かにあるのですが、これの発現がボケを助長するようだ。
ボケないで長生きというのは本人がかなーり努力しないと難し
いが、それにも生物的な限度があるとか。








 あと、神経再生に関して脊椎損傷なんかで足が動かないのは、
人類が大脳を発達させる過程で獲得した脳配線固定化プロセス
が邪魔をしている、って説もあったな。このようなシステム論
的なトレード・オフというのは生物学、工学のみならずあらゆる
社会現象にも応用でけるのかもね。ではでは。