7月8日(月)全てが遺伝子で決まっている訳ではあーりまへん

 夏晴れ。26℃〜35℃。遠方蒙気で霞む。夕刻ゲリラ雷雨あり。

 夕涼み よくぞ男に 生まれけり    (江戸時代)
 夕涼み よくぞコギャルに 生まれけり (現代)


 
決定論か後成論か:

 生物はDNAで全て決まってしまい、親の世代が経験し体得したこともDNAに反映されなければ子孫に伝わらない。とされてきた遺伝子決定論が2000年以降のエピジェネティクス(後天的遺伝子発現の変化と記憶)進展により次第に覆されてきますたのだ。

 全ての細胞の中にはまったく同じDNAがあるにも関わらず、細胞分化によって皮膚や神経や筋肉などに変化して行くのは何故だ?これがエピジェネティクスです。近年ハエの遺伝子研究で、ストレスにより変化したエピジェネティクスが子孫に伝わることも分かってきました。親の経験が子に伝わると。

 加齢、感染、栄養状態、被曝、ストレスなどイロエロな影響によってエピジェネティクが変化し、これにより遺伝子発現パタンが影響を受け、がんや疾病などが引き起こされることも分かってきました。この変化を化学物質により阻害して正常に戻そうと言ふ試み(ケミカル・エピジェネティクス)が近年注目を浴びております。

 例えばがん抑制遺伝子の発現を押さえる酵素(HDAC)の働きを阻害する化学物質でエピジェネティクスを変化させ、がん細胞を正常化する研究も行われています。この研究はまだ始まったばかりですが、色々な疾病に対応する標的エピジェネティクスが解明されつつあり、遺伝子改変治療よりも安全性の面で期待が持たれております。

 創薬・治療以外でも、生命の謎に迫る成果が幾つか発見されつつあり、今後に期待が持たれる分野ですぅ。ああ、科学の発展とは際限がないものですねぇ。それにつけても人類の心の発達は1万年前と変わっていないのかも。闘争する野獣!富国強兵!トホホ