9月30日(金)脳内パターン認識

 晴れのち曇り。19℃〜24℃、65%。一転、爽やか♪





 好き嫌いのオリジンとは:科学ニュースを見ての感想。

 人間の五感は外部の状況を把握して、それにうまく対応するために進化したと考えられる。疲れたら甘いものを食べたくなり、渇したら水は甘露に変ずる。好きな味はかだらの為になる物質を、嫌いな味はかだらに悪いものを識別して、それを積極的に摂取したり、避けたりさせる。でも高次脳機能が発達した人間は、おうおう大脳がこじつけた味を美味しいと感じるようです。例えば子供の頃「大人はなんであんな苦いビールをのむんだろう?」と思っていても、大人になると「うむ、このホップの効いた味わいは絶品!」とかいって、苦いものを好むようになります。これはアルコールを飲んだ時の快感とビールの苦さが結びついた結果だと思われます。

 最近、マウスを使った面白い実験結果が発表されました。脳内で記憶を司る海馬の下側にCA1というエリアがあって、ここで相手が誰かを識別する社会性記憶をしていることが分かりました。記憶と言うのは、細胞群の中で発火している細胞のパターン(記憶痕跡)で行われます。あるマウスを見た時のパターンにマーキングして、後に光を当てた時に同じパターンが再現する手法(光遺伝学)を用いて、そのマウスを思い出させることができます。

 マウスAを見せながら電気ショックを与えると、マウスAと嫌悪が結びつきます。マウスはしばらく経つと相手を忘れます。そしてこのマウスAを見た時のパターンを光を当てて思い出させると、嫌悪と結びついてますから、離れようとします。逆にマウスBを見せて快感を与えると好感が結びつきます。後で光を当てて思い出させると、このマウスBに近づいて離れないと。

 人間でいえば、怒鳴ったり臭かったりと嫌な記憶と「嫌い」が結びつき、楽しい、嬉しい、気持ちよい人は好きになると。意外に単純なんですねぇ。(いや、ホントはもっと複雑な過程を経てメモリ-インセプション(関連付け)されるようですが。)実際に記憶を思い出すのは、光の替わりに何らかの化学的プロセスがあって記憶痕跡(エングラム)を発火させるのでしょうが、これが分かればノービリ賞も夢ではないと。そーすれば記憶焼付と記憶読出が自動的にできるようになって、勉強する必要がなくなるかもね?それとPTSDを良い記憶に塗り替えることもできるかもしれない。


 でも、素晴らしい発見は、実は悪魔の手段にもなり得るから、注意が肝要!デスデス