9月18日(水)恐怖は身も心も麻痺させるのか?

  秋晴れ。19℃〜28℃。昼間は暑いが清々しいです。今日も富士山が拝めた。夜に入ると少し涼しい。今夜は小望月。明日は月見の宴。






 お勉強シリーズ:匂いと恐怖

 揮発性化学物質は嗅覚によってセンスされます。この匂いが情動やそれに伴う行動に大きな影響を与えていることは良く知られています。また社会学的には「臭い」が差別や虐めのシンボルとして利用されるのも、情動への影響が大きいためでしょうか。「あいつらは臭い」とか「あいつは臭う」とかは生理的な嫌悪を掻き立てます。


 従来、匂いは経験・学習などにより後天的に好悪は発するというのが主流の見方でしたが、近年の計測技術の発展で先天的に遺伝子に組み込まれたものが多いことが分かりました。もちろん学習によって獲得する匂いの感じ方もありえます。

 例えば、天敵の臭い、腐敗臭への嫌悪、異性、母親、食物などへの好感は先天的に遺伝子に組み込まれていることが分かりました。香水やワイン、お茶などへの匂いの嗜好は後天的な学習効果が大きいとされています。いくらイイかほりの香水でも、嫌な奴が付けているとむかつきます。また納豆やクサヤなどの悪臭が好感に変わるのも味からの学習です。

 ではこのような天敵の臭いによる恐怖と学習された嫌な臭いによる恐怖、また匂いでは無い閉所、高所の恐怖による生理反応に違いはあるのか?恐怖を「すくみ行動」によって定量化すると、匂い分子によって誘発される恐怖反応は、先天的なものも後天的なものも同等レベルであることが分かります。しかし繰り返し恐怖刺激を与えた時の反応は大きく異なりました。すなわち先天的な恐怖は繰り返すほど強くなり、後天的なものは繰り返すほど低下しました。

 また体表・体内の恐怖による温度変化を調べると、先天的な恐怖では背骨付近の体温が急激に低下します。後天的な恐怖では顕著な体温変化はみられません。まさに「背筋が凍るような恐怖」が実際に起きているのですね。また先天的な恐怖では「心拍数」が半分に低下することも分かりました(貧血気味の人なら失神するかも)。後天的な恐怖では心拍数に変化は見られません。

 また閉所拘束の恐怖では体温は低下するものの、心拍数はそれほど変化しませんでした。このように恐怖の種類によって生理応答が違うのは、恐怖の中枢が一つではなく、イロエロな経路によって処理されていることを示唆します。今後更に詳細な恐怖発動の機序を分析し、精神疾患の大きな原因の一つである「恐怖」を明らかにして治療・創薬に役立てるとか。(以上の知見はすべてマウスを使った実験によるものであることを申し添えます。)ジャン







 しかし植物なんかもイロエロな揮発性化学物質をお互いのコミュニケーションや害虫防御、益虫の吸引などに使ってますが、嗅覚ってあるのかな?ないような気もするし、全身が嗅覚のような気モス。事物の発現形態は一様ではなく、「こーでなくてはならん!」つうことは無いようでがす。思い込みは必然ですが、それでも柔軟な思考を指向してもがきませう!タリャー!!!