2月23日(火)脳が新規に頑張ってることは忘れることだったとわ


 こんにちは。薄晴れ。寒さやや緩む。遠方かすみがち。
暖かくなったらなったで花粉が飛ぶからヤだな。










 記憶は脳の高次機能の内でも比較的扱いやすいから研究が
進んでいる部類です。色んな記憶の種類がありますが、海馬
が短期記憶を担ってるのは良く知られておりますです。












 記憶は一端海馬に貯えられ、整理しながら大脳の引き出しに
しまわれると思われます。大脳から思い出すときも一端海馬に
引っ張り出され、そこで関連する記憶と結びついたあと再び
整理された知識として大脳の引き出しにしまわれます。  












 バラバラな記憶は知識とは呼べませんが、お互いに似たよう
な記憶をつなげて意味あるものとすることで初めて知識となる
のれすね。脳内では神経細胞の増殖はありませんが、海馬は
例外です。常に新しい神経細胞が生まれているのです。この
新生細胞が海馬に記憶された情報の消去と大脳への移転を
司っていることが分かりました。新生を阻害したマウスでは
記憶は何時までも海馬に残っていて大脳には移りません。











 マウスでは2週間くらいで記憶は大脳に移行しますが、人間で
は半年くらいかかります。それで人間も歳を取ると海馬新生が
衰えてきて、記憶の大脳移転と海馬からの消去機能も衰えます。
忘れないんだからイイんじゃね、とか思ったら大間違い。海馬は
大脳と違って容量が小さいですから、古い記憶で満たされると
新しいことが覚えられなくなるのれすね。忘れることの効用と
いへるでしょうか。











 過去の恐ろしい記憶がフラッシュバックするPTSDの治療として
海馬細胞の新生を促して忘れさせようとの研究も進んでいるよ
うです。このような脳の分子生物学的な研究は、局部的には
成果をあげるようになってきましたが、まだまだほんの端緒に
着いたばっかしと言えるでしょう。そもそも脳科学においては、
物理学のような共通する根本原理が存在するかということ自体
が極めて疑わしい。生命現象というのは大自然の生態系のよう
にイロエロな事象が複雑に影響し合い絡み合う複雑系であり、
電子回路網のようには単純化でけねえんだい。











 だいたい人体にしてからが、10万種の代謝物質(蛋白質など)
と外部化学物質と60兆個の細胞と100兆の共生微生物の
複雑に絡み合い影響しあう複合体なんすからねぇ。とてもスッ
パリと割り切れる訳がねーがな。だからおもすろいんだろうけど。