12月5日(金)ネバーネバー粘菌ねばねば優れもの

こんにちは。曇り、暖か。のち雨。のち曇り、さぶぅ。
木枯らしぢゃなくって木散らしかな。木の葉の子たちが風に舞う。
車道一杯でマスゲーム





 粘着ついでに粘菌話しもう一発。今日は真性ぢゃなくってただの
粘菌。細胞性粘菌といいます。これも単細胞で普段はアメーバの
ようにバクテリアを食べて動き回ってます。湿った土の中や腐った
木の幹なんかで。森の掃除屋、すべてを自然に戻すとても大切な働
きをしていますぅ。





 それでバクテリアを食べつくして餌が無くなると餓えた浮浪者の
群れは集まって固まりを作ります。莢の中に入って一見多細胞生物
のような統一した行動を始めます。鰯の大群がまるで一つの生き物
のような動きをするのと似ていますね。




 それでどうやって集まるかというと一番餓えてる奴がある化学物
質を出す。それを周りの粘菌が取り次いで次々と或る範囲まで伝え
ます。その範囲(約10万個)の粘菌はその化学物質の濃度勾配に
従って中心に集まって一つの移動体を形成するとか。




 で、どうやってその集団が動くかっつうと、先頭の方にいるのが
えんこらうんこらその固まりを引っ張って行きます。後ろの方のは
乗っかっているだけで楽ちんですぅ。個々の個体は走光性があって
土の表面や木屑の表面に向かいます。表面に達すると先頭で引っ張
って頑張っていた奴はエネルギーを使い果たして死んでしまいます。
後ろに乗ってたのは固まって上に進みそこで丸い胞子を形作ります。
あ、死んだ奴は硬くなって胞子の柄となり胞子を包む子実体を守り
ます。





 つまり集まった時に生き延びて将来を担うか、身を捨ててそれら
をサポートするかが既に決まっていたということです。単細胞とは
言え見事な覚悟ではアルマイト。で、これらの分化がどーして起き
たのかが近年分ってまいりましたぞ。その原因はDIFという化学物質
にあったのだ。じゃんけんで決めたのでは無くってババ抜きの様な
もの。これ(DIF)を貰っちゃうと多動性になり動かずにはいられな
い。一方少ししかこれ(DIF)を貰わなかったのは分解酵素をだして 
これ(DIF)を分解しちゃって群れの後ろのほうにただ乗り、っつう
寸法です。これも運不運。





 しかしこれも確実性のジレンマ。ものごとが確定すると謎は2倍
になります。DIFはどうして作られるのか?DIFを分解する酵素
どうして作られるのか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
これらの解の一部はゲノムにあります。遺伝子を知ると「不思議」
を大幅に軽減することが出来ます。






 ヒトゲノムは30億強の文字配列、粘菌は3000万の配列ですう。
約1/100のこいつを解析して単細胞から多細胞への分化の秘密を
解き明かそうと日夜努力が続いてるようだぁ。ちなみにこのDIF
つう物質はガンの抑制効果も認められるらしいぞ。






 う〜ん。今日もお勉強になってしまったか。ま、何はともあれ
知識が増えるということは一つの楽しみではござらんか?ソウカ?
でも世の中には何でも知ってるバカがいる。知的メタボリックと
は言い得て妙!では知的エクササイズとは何か?それはあること
ないこと書き捲ることかな?そーですか、はいそーですか。





お知らせ:来年の1月12日まで国立科学博物館で「菌類の不思議」
つうのをやってます。きのこ好きは必見かも!