最新の分子生物学から見たしやわせ

こんばんは。うっすら晴れ。チョビット寒気ゆるむ。公園に行ったら、
梅の蕾がほころび始めてました。春の息吹が感じられますね。




TVで「DNAからみたしやわせ」つうのを見た。京大の本庶(ほんじょ)先生
のはなし。

生物学の発展に伴い生命観、人間観も大きく変化してきた。もともと分類学から始まった生物学もメンデルやダーウィンを経て分子生物学へ、生命科学へと発展してきた。特に免疫学の進歩は医学、生命学に画期的な影響を与えつつある。

で、この方は2万個しかない遺伝子で無限の外部物質(抗原)に対応する
AID酵素による遺伝子自己組み換えの機構を解明し、利根川氏に続くノー
ベル賞有力候補と目されています。その人の「しやわせ論」。

一つには、幸福の元は欲望であり快感であると云える。食欲、性欲、競争欲などの欲望は生きていく、あるいは継続していく基本であり、これが無いと生命として存続しえない。しかし、これらの欲望・快感は幾らでもエスカレートし、完全に充足しえないという特徴がある。つまり、欲望の充足だけでは決してしやわせな状態とは言えない。

この辺は、仏教でも煩悩とか言って否定しているところではあります。
では、更に何が必要なのか。ここで博士は「不安感がない事」を上げて
いる。

生きる事に対する不安、死への恐怖は誰にでもあり、またこれが無ければ生存はできない。しかし、これらは訓練や修行によって除去可能であり、不安感の除去はエスカレートせず、しかも永続的である。体験によって高度な充足感が得られることもある。(死にそうな体験をした人はその後の人生で些細なことにも大きな感動を覚えるとか。)これらは色々な体内物質(ホルモンとか)がコントロールしているが遺伝子的に既に組み込まれているとも言える。

と、しやわせとは不安感の除去であると位置付けています。そして、
医療の目的も、永遠に生き長らえさせるのは不可能で、結局、不安感
の除去や安らぎを与えるという宗教、哲学的な役割を医者も持たざるを
得ません。ターミナル・ケアが益々重要になって行くのでしょうか。

そして、不可知的な霊魂のような生命観から、DNAで担われた情報体としての生命観、その情報がいつどの様な形で発現するのか?というところまで来ている。
1.バクテリアから人間まで同一の遺伝暗号による生命体一族。
(DNAの糸による共通性)
2.多様な価値観(遺伝物質はダイナミックに変化する)。
3.命の尊さと個性(その人固有の遺伝子)


そして現在までにゲノムに蓄えられている情報の網羅的な一次探査が
完了している(文字レベル)。今後、平面的ではなく、発現を含めたよ
り複雑な階層性(文章からシナリオ全体まで)の探求に向かうのでしょう
が、心や意識を含めた人間の全体像を理解するのはとても難しいのでは
ないか、と感じます。でも、進む方向性、筋道としては合ってるのかも。



あと、百年くらい長生きして結果を見たい気持ちはありますが、結局
どこで切ってもその先は無限に続くループのような気もしますね。
最近、啓蒙系TVにハマって読書の極端に少なくなってしまった私でした。
ではでは、お休みなさい、また明日、元気で進もー!