合目的な仕組みの不思議

こんばんは。生命満ち溢れかえる夏がすぎんとすれば、一抹の寂しさ、
こころ惜しさが湧いて来ます。一瞬のあでやかな錦秋までの隙間。



最近は本を読んでても、この人はもういない人、この人は元気で活躍
してる人、この人は元気じゃないけどまだいる人とか分類してる。
で、「すでにいない人でも”思い”だけはこうして残ってんだなあ」
とか変な感慨。時を越えた共感とか。



さて、最近感じたことのひとつ。目的が同じものは原理も似てしまう
のかも。例えば:「動く」とか「移動」とかに関しての面白原理。




大分前に神経細胞って長いね、つうエントリを書いたことがあるけど、
長いやつは足の指先から頭まで150cm以上あります。神経細胞から
軸策つう突起を伸ばして行ってどんどん長くなっていくのです。この
伸びてく仕組みが面白い。この軸策の先端は成長円錐と言って、アメー
バみたいに運動しながら伸びていきます。実はこの運動が、驚くべき
ことに、自動車の仕組みにそっくりなのです。




まずエンジン、これはボール状のタンパク質が数珠のように繋がって動く
アクチン繊維でこれは筋肉の運動とほぼ同じ原理です。それからタイヤ
は細胞膜から突き出ている膜タンパクのL1と言うやつ。最後にタイヤ
にアクチン繊維のモーター力を伝えるクラッチ分子があります。他にも
イロエロな分子が関係するのですが、ごく単純に模式化するとこうなり
ます。




それで動き方を簡単に説明すると、アメーバ状の先端部でアクチン粒子
が順番に繋がり繊維状をなして後方に移動する。これがクラッチ分子を
介して接着分子L1に伝えられる。L1も後方に移動を始める。すると
軸策は反作用で前方に動いて行く。で後方に移動したL1分子は小胞と
いうあぶくみたいのにくっついてまた先端に運ばれていく。つまりL1
キャタピラーみたいにグルグルと軸策内を循環回転してるわけ。




ね、ミクロの世界と侮ってたけど、仕組みがブルドーザーなんかと同じ
でしょ。こんな不思議な相似性は他の機能にもたくさんありそうですね。
進んでいく方向の制御にもイロエロな分子情報システムが関係してるん
ですが、また今度。こういう研究でそのうち下半身マヒの人が歩ける
ようになると良いですね。あと20年もしたら実現するかも。





昔、畑を借りてナスを作ったことがあるけど、これも花がみんな実にな
って千にひとつの無駄もないだったな。栄養があるかどうかは分かりま
せんが、旨いからたぶん精神の栄養にはなってるのでしょうね。では
おやすみなさりませい。またあした。