5月28日(火)現実感のある感情と、仮想の感情の違いとは


雲の多い天気。気温20℃〜24℃。湿度高く少し蒸す。南寄りの風やや強し。そろそろ花菖蒲の季節か?




 情動の不思議:悲しい音楽は快の感情をも誘起する

 感情的な行動は動物にも見られますから、これは進化の過程で何らかの要因で保存された生きる上で必要な働きをするという説もあります。しかし人間になると感情の表出も一様ではなく、ときには裏腹な、あるいは両義的な感情が現れることがあります。
 この辺にメスを入れたのが、小鳥の言語研究で有名な岡ノ谷博士グループの川上愛研究員と東京芸大のグループです。 "Sad music induces pleasant emotion" http://www.frontiersin.org/Emotion_Science/10.3389/fpsyg.2013.00311/abstract

 なぜ人間は悲しみという負の感情をもたらす「悲しい音楽」や「悲劇」を好むのか?というのは芸術を生み出した人類の長い間の疑問でした。
 そこで研究グループは短調ノクターンを30秒ほどの長さに編集して、音楽経験のある人やない人など44人に聞かせて、「その音楽についてどう思いますか?」と「その音楽を聴いてあなたはどう感じたか?」の二つの質問をしました。その結果、悲しい音楽だと思ったが自分は心地よく感じたという両義的な情動があることが分かりました。これは音楽経験のあるなしに依存しないことも分かりました。音楽を聴いてそれが悲しい音楽だと”判断”する事と、その音楽を聴いて”実際に”自分が悲しくなるかは別のことなのです。

 この研究結果は、自身が日常直接体験する「直接感情」と、芸術鑑賞など自身に直接にはかかわらない「代理感情」というメタな感情との間に両価性*1が現れることを示唆しています。「代理感情」の概念は、リアリティの感覚が情動にも大きな影響を与えていることの、一つの例とも言へまする。リアリティの感覚が何処から来ているのか?っつうのもおもすろいけどね。

 いや〜人間ってホントにおもすろいですねィ。んじゃ、サイナラサイナラ♪


 

*1:性質の異なる感情が同時に現れる性質