10月9日(火)鴻雁来(こうがんきたる)、雁が飛来し始める頃。

 
 雲の多い晴れ。18℃〜26℃、60%。今日は一応夏日。



 
 量が質に転化するって:

 元々の素材が同じなら、それがいくら増えたって同じダロ?とは思いますが、実は量が増えるとその性質まで変化してしまう現象ってたくさんあるんですぅ。物性学には多くの実例がありますが、今日は集団の質について考えてみましょう。

 セルオートマトンというのがあって、ライフゲームの中において、最小の移動体であるグライダーが色々な動きをします。合わさったり離れたり、生成したり消滅したり、イロエロな面白い動きを、二次元の枡目上で見ることができます。そしてこの規模をどんどん大きくして行って、1000倍くらいになると、元のものと同じ世界が拡大した世界の中でレベルを上げて繰り広げられます。すなわち階層化されたライフゲーム世界が構成できるんだすぅ。こういう多階層の世界では、上の層で下の層を修復できるようになります。

 ま、これはコンピュータ・シミュレーションの世界ですが、人間の世界でも集団の規模が百人、千人、万人、億人と大きくなると質的な変化を引き起こします。人類は、血縁関係の小集団から地域社会へ、さらに都市国家規模、国民国家へとどんどんその規模を大きくしてきましたが、その社会の存立基盤が身体性から離れて、高度に抽象化される過程だとも言えるでしょう。そして、その抽象化の過程で、戦いの残虐性が増してきました。今ではボタン一つで数千万人を一瞬にして消滅させてしまえるようになりました。しかも、なんら身体的、心理的な痛みを伴わずに。

 技術の指数関数的な発展と、存在の抽象化が、人類を奈落の滝つぼに誘い込むのではないかと杞憂するのは、必ずしも故なきことではあーりまへん。約20万年前にアフリカで進化したホモサピエンスは、約1万年前に農耕・牧畜を始めてから、緩やかな社会変革が始まり、250年前の産業革命で飛躍的な工業化が始まり、約50年前の情報化革命で社会は更に劇的な変革を遂げました。そしてその技術革新は、滝つぼに吸い込まれる激流のように、日々速度を増しているのが現状です。いわゆる一つの指数関数的技術爆発ですねィ。この状況が破滅を生まない方が、ノーテンキだと思いませんか?

 つうことで、ルソーではないですが「人間よ、自然に帰ろー!」と増々強調したい心境ですぅ。いやいや、元々仏教は山川草木悉有仏性ですから、無機物も生命も一体だっちゅう思想ですから、こりは東洋的なルネッサンスかも知れんですぅ。規模が人類に行く末に変質してもうたけど、許してくんろ。どもども。