3月8日(日)くっしゅん

 概ね曇り、ときおり細雨しとしと。6℃〜11℃、64%。さぶくても花粉は多い。おめめがかゆすかゆす。





 戦争と文学:源ちゃんのお話し。

 前大戦中、ほとんどの作家は戦争記事以外は書けなかった。翼賛記事以外は、「ピッピー、発禁!」とレッドカードが出たからです。平塚雷鳥村岡花子も婦人会でアンガージュマン(社会参加)してましたからね。そんな中で、太宰、谷崎のみがこの期間に生涯の傑作を書いてました。「津軽」とか「細雪」とか。特に谷崎はたびたび発禁を受けましたが、メゲずに書き続けますただ。なぜ発禁になったかつうと、「源氏物語」的な女性原理で書かれてたから、あずま夷が戦が出来なくなるから。元々大和の皇室はアマテラス紀元の女系だし、明治までは和歌読んで祭祀を司る立場、それを思い出させると大元帥で国軍を統括するなんて役割はでっち上げだとバレちゃうから、谷崎が目を付けられたんです。当時の軍部官僚は文学的教養があり、馬鹿ではなかったと言うことでしょう。(ん、今はだって?)

 一方、太宰は「御伽草子」「津軽」など乳母との話しや津軽の風景など当たり障りのないように見えるが、非常に多義的で如何様にも読める表現を使う。未だに評価が分かれているが、源ちゃんは複雑化させた表現で当時の一億玉砕な単純化した風潮に歯止めを掛けたと見ている。社会主義国、軍事国家などの文学が普遍性を持たなかったのは、イデオロギーに染まった単純化による。文学は檄文ぢゃないんですから、個々の人間の有りようや複雑な人間心理の描写が基礎にあるはず。この点で、谷崎、太宰は文学的に同じだったといえるですぅ。





 おっと、出かけねば。しばしさばら。