11月13日(水)書いている内にどんどんペシミスティックになって行くのが悲しい

 冬晴れ。夕方少し雲が出る。7℃〜13℃と寒気去らず。しかし空気澄明にして真白き富士の嶺が良く見えまふ。

 慌ててコートを引っ張り出したらしく、電車内に防虫剤のにほい充満す。新宿のビル隙間から宵の明星がキラキラ。




 美的感覚:

 年末になると方々でイリュミネーションが始まってとても綺麗です。もともと四季の移ろいが豊かで、花鳥風月にもののあわれを感じる日本人はその環境によって美的感覚が発達したのでしょうか。と思うったら夜は闇に紛れて見えなくなってますが、意外と都会の景観は雑然としていまふ。しかし桜前線とか紅葉前線とかを天気予報でやるのは日本くらいでしょう。詩歌に季語なんかが入るのも日本くらいでしょうねィ。

 まず雑然とした景観で目に付くのは電信柱です。そこに垂れ下がっている電線も古家にかかる蜘蛛の巣のようですぅ。大都会で電信柱が林立しているのは日本だけではないでしょうか?(田舎はコストの関係から電柱を使っている国はけっこうありますが。)欧州の都市のように建物の高さや色まで統一しろとは申しませんが、なぜ電柱が無くせないんだぁ!と、美的感覚にあふれた美しい日本では不思議な現象だと思いまふ。美しい国ニッポンのアビさん頼むぜよ。そうそう神戸では震災の時に道路を倒れた電柱が塞いで被害を大きくしたので復興時に速攻で側溝化を果たしたから、やろうとしたらできるんだよね。

 あと外人も驚くけばけばしい自販機の氾濫もありますね。街中ではそこらじゅうにありまふが、名所旧跡寺社神宮の中にまで自販機が設置されてるのは異常じゃね?あと高速道路の傍若無人な振る舞いは日本橋の景観を見れば分かるでしょ?水路も全部埋め立てられちゃったし。

 一方郊外に目を向ければ、山野は削られてゴルフ場やスキー場に造り替えられ自然愛好家から見れば醜悪の極致!ダムや送電線は深山の景観を台無しにしていまふ。とか中島義道ちゃんの「うるさい日本」みたいなことを視覚的に述べたが、この風潮はいつ始まったか?今でしょ!ではなくって明治期に西欧文化が入って来たときからなんすね。

 幕末〜明治初期に来日した外人は一様に日本の美しい自然、特に里山風景を称賛していた。それが先進諸国に追いつけ追い越せで突っ走っているうちに、自然の遺産を全部食い潰してしまったのれすね。文明開化も一長一短。その頃から足尾鉱毒問題などの公害が発生していましたが、そんな些細な問題は無視して富国強兵に突っ走り最後は自滅したと。戦後の復興期も所得倍増などと称して産業優先、これによりて3大公害(水俣病四日市喘息、富山のイタイイタイ病)が発生しても行政、財界は原因不明として本腰を入れず被害が拡大した。これが原発の今に至る、死に至る病やまい)なのれす。


 これは江戸時代まで続いていた日本人本来の自然愛、四季の美意識が文明開化によって徹底的に破壊された経緯です。でわ、その肝はなんなのか?そりは市場主義、商業主義の「利」の重視なんすね。すべて利益、コストパフォーマンス、お金、効率化・・・の短期的な価値観。公共財などは食い潰しても自国、自社、自分の利益に!っつう卑しい心根を至上の価値観にしてしまった現代社会。ああ、今更後戻りはでけるんでせうかっ?

 電通10訓に代表される消費を煽る価値観は、今企業(特にマーケティングや営業など)で働いている多くの人は反対しないでしょう。なぜならそれが商業主義社会では利を生むから。しかし、その価値観が日本人本来の美意識を徹底的に浸食してしまった事くらいは認識しててもバチはあたらんでしょ。モーダメダカナ?