10月19日(土)君に視覚を語る資格はあるのかっ!

 うす曇りのち弱雨。15℃〜17℃とかなり涼しい気候。遅まきながら衣替えを決意せり。

 京橋から丸の内、さらに渋谷まで足を伸ばす。丸の内は既に街路のイルミネーション盛んなり。渋谷は若人の人ごみで辟易す。世は早くも年末のふいんき。そだ、歳時記カレンダーを早めに買っておこ。もう既に秋の鳴き虫が姿を消す頃だっ。





 最新の医学的成果について:視覚

 山中さんのノーベル賞に先立つこと数年、iPS細胞が山中先生により確立された時に一人の研究者が約束した。「今から5年後には実用化してみせます。」と。その名は高橋政代博士でやんすよ。その約束が世界に先駆けて実現されようとしています。

 我らの網膜を概観するに、その中心部約2mm円を黄斑(錐体)といってここが視力1.0の中心になりもふ。その外縁部はすべて視力0.2程度の周辺視野になるわけだす。この黄斑が加齢により変性すると中心視野がボケてまいりまふ。いわゆる一つの加齢黄斑変性ですね。網膜の細胞は脳と同じ神経細胞ですから基本的には再生しません。

 そこでiPS細胞の登場です。人の皮膚から作ったこの万能細胞を数段階の処理で網膜の色素上皮細胞に変え、これをシート状に増やして黄斑部に移植する。シートの作成まで約10か月を要するが、この移植によって視力のまったくなかった人が0.1程度には回復します。この後はロービジョン・ケアというリハビリで人生の質(QOL)を向上して行くことになります。

 ここで大切なことは、今まで視力がほとんどなかった人が0.1まで回復するのと、良く見えていた人の視力が0.1に落ちたのとでは、本人の視力に対する認識が全く異なることです。相対化の魔力と言ふべきか。0.1でもイロエロなことができますよ、仕事も読書もほとんどできますよ、と言ふケアがロービジョン・ケアです。

 iPSの実際の臨床への適用には二つの壁がありました。一つはガン化の危険性です。もう一つは量の壁というか、心臓や肝臓などの大きな臓器はiPSで再生するのは大きすぎたのです。網膜の黄斑部は薄いし小さいし量の問題はあんましありまへん。ガン化に対しても、事前の選別や、仮に少数が選別で洩れたとしても色素上皮細胞が分泌するたんぱく質が腫瘍細胞を殺す働きをします。さらにそれでもガン化したらレーザーで簡単に除去できる部位なのですね。

 基礎研究から応用研究へ、さらに実用研究、臨床研究へと進み、臨床治験に至るまでは20年も掛かります。今ようやくそのとば口に立ったわけです。あと5年もしたら一気に事業化へ進み大勢の患者さんのお役に立つでしょう。

 10里の道は9里をもって半ばとなす。iPS細胞の世界で初めての実用化に向けて期待age!



 お医者さんは偉いけど、みんな死んじゃうんだよね、結局は。ショボーン  でもしむまでは良く生きようよ。ホワ~ン