7月24日(火)死と再生の物語、生命体

 終日薄曇り。気温30℃近く上昇し、蒸し暑い。

 一粒の麦もし死なば多くの実を結ぶべし:
植物は細胞が細菌に感染したりすると自死アポトーシス)を選びます。まわりの細胞を助ける為です。動物にも遺伝子にプログラムされた細胞死(アポトーシス)があります。これは形態形成に大きく係わっていると言われております。指ができたり、お玉じゃくしの尻尾が消えたりする機構ですね。生物の形態形成にはまず大きく造って、それから削っていくと言う原則があります。また初めから厳密に設計されたものではなく、その都度状況に合わせて形作られていくような柔軟性もあります。全身に張り巡らされた血管も、各部の圧力が均等になるように自己生成されます。だから一部の損傷がただちに修復されるのです。
一方、細胞死が他の細胞の再生に係わっていることも分かってきました。トカゲの尻尾が切れて切断面の細胞が死ぬと、そこから細胞増殖を促すブッシツが造られ、それによって周りの細胞が再生されるのです。切れても細胞が死なないように遺伝子操作をすると再生も起きません。まさに「一粒の麦もし死なずば」です。
逆にこの効果は癌の治療面では悪い副作用を与えます。放射線などでがん細胞を細胞死させると、増殖ブッシツは発生し、それが周りのがん細胞を却って増殖させてしもうことがあります。つまり癌細胞を叩くときは少しも残らないように、徹底的に叩かないといけないのです。
一つの現象が良い面/悪い面と色々な影響を与えますが、これも人間のごく狭い価値基準から判断したもの。「独りの人もし死なずば独りにてあらん、一人のひと死なば多くの身を結ぶべし」ジャン