5月8日(金)生命の謎にほんの一歩肉薄したです


 こにちは。引き続き曇りときどき雨。涼しくてすごし易い。


 面白い記事を読んだ。
アブラムシに細菌由来の遺伝子

アブラムシの遺伝子の中に細菌から移った遺伝子があり、しかもアブラムシに欠かせない共生細菌の生存はこの遺伝子がコントロールしていることを理化学研究所などの研究チームが突き止めた。

生物が従来考えられた以上に柔軟性に富んでいることを示し、生物学、農学、医科学の基礎から応用にわたる幅広い分野に大きなインパクトを与える研究成果だ、と研究チームは言っている。

このアブラムシってアリマキという小さな昆虫ですが、進化の過程でブフネラという細菌を菌細胞という特別な細胞の中で育てるようになって、そのブフネラが作る栄養で育ちます。一方ブフネラはアブラムシの中の菌細胞がないと生きてはいけません。すなわち相利共生ということになりまする。
1億年くらいの間にブフネラは菌細胞内で暮らすのに適合して余分な遺伝子が消去されてそのゲノムはとても簡単な構造になりました。そのかわりアブラムシの中の遺伝子がブフネラが生きていけるような機能を代替しています。
ここで面白いのは、そのアブラムシのゲノムの中に組み込まれたブフネラ用の遺伝情報がブフネラ起源ではなくって遠い昔にアブラムシに感染した別の細菌由来だったことです。
この研究は、細菌ゲノムから動物ゲノムに移転したDNA配列が、実際に遺伝子として機能できることを例証したこと以外に、ある細菌の遺伝子が、さらにほかの細菌との共生関係に利用されているという前代未聞の知見をもたらしました。
10億年以上前に共生菌からもたらされてとされる我々の細胞内のミトコンダリアとか植物の葉緑体とかの成り立ちの解明にも役立ちそうです。アブラムシの農薬を使わない撲滅とかいう実用研究以外にも、生物間の相互作用を扱う生命科学の基礎研究に大きなインパクトを与えるといわれてます。
意外と生物って柔軟で相互依存が強かったんだなあ。「俺は自分ひとりで生きてるんだい!誰の世話にもなるもんかい!」つう強がりが、根本から否定された業績でしょうね。思想界にも影響が及ぶかも。ぷ


ついでに勉強したこと:自発的対象の破れ(spontaneous symmetry breaking)とはスポンタの左右対称な顔が壊れたことを表わしており、つまり顔が怒りで歪んだ状態ですぅ。分かりやすく言うと、レモン絞り器のような真ん中に山のあるポテンシャル・フィールドでエネルギー状態が高いときには中央のお山のてっぺんにあった安定状態がビッグバン後のエネルギー低下で裾野に転がり落ちて対称性から外れることを現しておーる。つまり真空の安定状態が対称から非対称に落ちたのだよ。ハハハ ここで真空から物質が生まれる。 空即是色 色即是空