ヤセがいいのかデブがいいのか一喜一憂


こんばんは。薄曇。春霞。暖かい一日。
低気圧が通過する度に気温は着実に上がってきてますね。今日はもう
上着が要らないくらいでした。





「人が生涯で食べる食事の量は決まっている。」 とかいう人体摂取
エネルギーの一定則がまた息を吹き返してます。ま、日本でも昔から
「腹八分目に医者いらず。」とか、貝原益軒の「粗食長寿説」なんか
がありました。しかし、最近のアメリカにおける低カロリー信仰は
すでに宗教の領域に入っていて、「ダイエットの為なら、氏んでも
いい。」というくらいに凄まじいものがあります。





スリムがセレブの条件だとばかりにエクササイズどころか特殊食品、
痩せ薬、果ては胃の切除にまでエスカレートしています。一方、低
所得層はジャンクフードで脂肪太りと、体型の面からも社会の階層化
が一層進んでいるように見え受けられます。





社会の動向を反映してアメリカでは長寿学とでも言うものが流行って
いて、最近の長寿学の知見ではSIRT酵素というのが一つの鍵に
なってきました。この酵素タンパクは酵母とか線虫という生物から
高等動物にまで共通して存在し、低エネルギー状態に置くと良く
活性化されることが分かっている。特にヒトのはSIRT1と呼ばれ
その発現機序が解明されつつあります。
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2007-11/mcog-rbe110507.php




SIRT1酵素が活性化されるとアポトーシスという細胞の自然死が
促進され、老化した細胞や異常な細胞が早く死ぬことによって全体の
寿命が延びるとかいう、多少切ない話です。また活性酸素によるスト
レスがSENP1というタンパクを減少させ、このタンパクが少ないと
SUMO1というSIRT1内のタンパクを外せなくなる。これは
ロック・キーみたいなもので、外れないとSIRT1は活性化されず、
いらない細胞が何時までも残り、増えてしまうとか。





で、このSirt1つう酵素アルツハイマーの原因と目されている
ベータ・アミロイドという物質を減らす働きもあり、ボケ防止にも
効用ありとして、遺伝子レベルからこの酵素の活性化を研究している
ようだ。しかし、当面、低カロリー食と運動がこの酵素活性化には
利くらしいと騒ぎ捲ってますう。





ま、分子レベルの一つの知見が、身体全体にどのような効果を齎すか
はとても難しい問題で、飢えや栄養失調よりも豊富な食品を満遍なく
摂取したほうが身体に良く、長寿だという説も根強いので、無理した
ダイエットはあまり良くないのでしょうね。まだまだ、個別の事象で
一喜一憂しているのが最前線つうことで、種全体からいえば、世代
交代が早い方が適応性は良いので、老害が蔓延らないほうが結局は
ためになるかと思いますゥ。






でも、旨いものを満足するまで食って、これが健康に悪いとは、何か
体内センサーが狂ってるとしか思えませんね。突然叫んで走り出し
たくなるのは正しい反応なのかも。では、今日はもやすみなさいまし。